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十字架降架 (ファン・デル・ウェイデンの絵画) : ミニ英和和英辞書
十字架降架 (ファン・デル・ウェイデンの絵画)[じゅうじかこうか]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [とお]
  1. (num) 10 2. ten 
十字 : [じゅうじ]
  1. (adj-na,n) cross 2. crossed 3. cruciform 
十字架 : [じゅうじか]
 【名詞】 1. cross 2. the Cross (of Christ) 
: [じ, あざな]
 【名詞】 1. character 2. hand-writing 
: [か]
 【名詞】 1. unit of equipment 2. rack
: [え]
  1. (n,n-suf) picture 2. drawing 3. painting 4. sketch 
絵画 : [かいが]
 【名詞】 1. picture 
: [かく, が]
 【名詞】 1. stroke 

十字架降架 (ファン・デル・ウェイデンの絵画) : ウィキペディア日本語版
十字架降架 (ファン・デル・ウェイデンの絵画)[じゅうじかこうか]

十字架降架』あるいは『十字架降下』(じゅうじかこうか、、)は、初期フランドル派の画家ロヒール・ファン・デル・ウェイデンが1435年ごろに描いた絵画。オーク板に油彩で描かれた板絵で、現在はマドリードプラド美術館が所蔵している。磔刑に処せられたキリストを描いた作品で、十字架から降ろされたキリストの遺体を抱えている二人の男性はアリマタヤのヨセフニコデモであると考えられている。
この絵画の制作年度が1435年ごろと推測されている根拠のひとつは、作風にある。また、作者のファン・デル・ウェイデンがこの時期に富と名声とを獲得しており、それらはこの作品がきっかけとなってもたらされたものと考えられているためでもある〔Clarke, p.52〕。ファン・デル・ウェイデンの初期の絵画で、師と考えられているロベルト・カンピンのもとでの徒弟期間を終えて間もなくの作品である。この作品にはカンピンの影響が如実に見られ、とくに彫刻のような硬い表質感と、赤、白、青を多用して鮮やかに彩られた写実的な人物の顔の表現に顕著となって表れている〔Clarke, p.47〕。『十字架降架』はファン・デル・ウェイデンが世界的な評価を得ようと意識して描いた大作であり、依頼主であるルーヴェンの弓射手ギルドがノートルダム・フオーリ・レ・ムーラ礼拝堂に献納することにちなんで、キリストの身体はクロスボウを模った「T」の形で描かれている。
美術史家たちはこの作品について、キリスト磔刑を描いたフランドル絵画の中でもっとも影響力があったことはまず間違いなく、完成後200年の間に何度も模写され、大規模な絵画の模範と見なされていたと高く評価している。キリストの死を深く嘆き悲しむ人々の、衝撃的ともいえる感情表現と精緻な空間表現がさまざまな評価となって表れた作品でもある。
== 概要 ==
キリストが処刑された十字架から降ろされる場面の記録は、『福音書』のキリストの埋葬に関連するものしかない。キリスト教の正典たる4点の『福音書』には、アリマタヤのヨセフがキリストの遺体を引き取り埋葬の準備をしたと書かれており、『ヨハネによる福音書』では19章38節から42節にかけて、ニコデモもヨセフとともにキリストの遺体を受け取った人物として記述されている。そしてどの福音書にもキリスト埋葬の場面で聖母マリアに関する描写は一切ない。しかしながら中世ではキリスト受難の物語がより精緻化され、この物語の中でキリストの母たるマリアが果たす役割が大きくなっていった。このような傾向の一例として14世紀のカトリック神学者ルドルフ (:en:Ludolph of Saxony) の著作と考えられている『キリストの伝記 (''Meditationes de Vita Christi'' )』があげられる。
バーバラ・レーンは、時代とともにキリストの生涯の物語が変遷していった背景として、キリストの十字架降架を描いた様々な絵画作品が影響を与えていると指摘しており〔Lane, ''Altars and Altarpieces'', p.89〕、ファン・デル・ウェイデンの『十字架降架』についても「この後、聖母マリアはキリストの右手をあがめるように自分の手にとり、そして頬に押し当てて涙を流しながら深い悲しみに浸ることだろう」としている。
中世において聖母マリア崇敬が高まりを見せたことについてミリ・ルービンは、15世紀初めごろから芸術家たちが十字架の下に気絶しそうな弱々しい女性としてマリアを描いたことが関係していると考え、とくにファン・デル・ウェイデンの『十字架降架』がもっとも大きく影響を与えた作品だとしている。この弱々しいマリアを当時の神学者たちは「Spasimo(悲痛)」という言葉で表現した〔Rubin, pp.314-315〕。16世紀初頭には聖母マリアを繊弱に表現するのはごく当たり前の風潮となり、ローマ教皇ユリウス2世が「Spasimo(悲痛)の日」という新たな祝日を定めようとしたが、この考えは賛同を得られずに終わっている〔Rubin, p.362〕。
美術史家ローン・キャンベルはこの『十字架降架』に描かれている人物像が誰であるのかを同定しようとした。キャンベルの推測では向かって左から右へ、聖母マリアの異父妹クロパの妻マリア福音記者ヨハネ、聖母マリアのもう一人の異父妹で緑の衣服を着用しているマリア・サロメ、気絶しているかのような聖母マリアイエス・キリストの遺体、赤い衣服を着用したニコデモ、梯子に足をかけている男はニコデモあるいはアリマタヤのヨセフの年若い召使い、金のローブという絵画中もっとも豪奢な衣装を着用しているアリマタヤのヨセフ、その後ろのおそらくヨセフのもう一人の召使いの髭を生やした壷を持った男〔男が持っている壺はおそらくマグダラのマリアを象徴する高価な香油がつまった壺であり、マグダラのマリアはキリストの脚に最後の秘蹟の香油を注ごうとしている。〕、そして印象的な姿形のマグダラのマリアが一番右に描かれているとする〔Campbell, Lorne. "The New Pictorial Language of Rogier van der Weyden", in ''Rogier van der Weyden, Master of Passions'', ed. Campbell & Van der Stock, 2009. pp.2-64〕。
キャンベルの推測、とくにアリマタヤのヨセフとニコデモの同定に対して異議を唱える美術史家もいる。ディルク・デ・フォスはキリストの上半身を支えている赤い衣服の男性はアリマタヤのヨセフで、キリストの脚を支えている豪奢な衣服の男性がニコデモであるとして、キャンベルとは正反対の同定をしている〔De Vos, p.21〕。


抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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